この四月から学長・校友会会長職をお預かりします、村田 玲音(れお)でございます。
明治学院は長い歴史をもっています。島崎藤村が明治学院本科を卒業したのが1891年ですから、それから数えても130年、毎年卒業生を輩出してきました。私は現在の法人や大学の教員・職員・学生の中では年長の一人です。しかし、明治学院の歴史を考えるとまだかなり若い方に属します。そのような私が校友会会長を務めますが、四年間の任期中どうかよろしくお願いいたします。
私は 2012年から 2015年にかけて入試担当副学長を務めました。《地方入試》を導入した最初の年、私が札幌に出かけますと、40歳くらいの紳士が私たちを訪ねてくださり「よくいらっしゃいました。お待ちしておりました」と、明治学院が北海道に進出したことをとても喜んでくださいました。その方は明治学院を出て、札幌近郊の高校で英語を教えておられたのです。そして、明治学院卒の高校教員は時々集まっては情報交換をかねて懇親会を開いていること、メンバーの約3分の1は既に定年を迎えたことなど、活動の様子をかなり詳しく話してくださいました。明治学院大学に愛情を持った人々が、さまざまな地で長く独自の活動を続けてこられたことの一端を知り、とても印象的でした。
明治学院と卒業生の間の繋がりはもう少し密であった方がいい。長い歴史を持っている大きな意味はそこにあるのではないか。私たちは卒業生の方々に見返りを期待しているわけではありません。ただ、明治学院に愛情をもった方々が数多くいることは、大学として非常に大切なことです。卒業生が母校に愛着を持つのは、そこで過ごした時間が今の自分の中にどのくらい生きているのか、それを実感できるかどうかで決まるのでしょう。明治学院大学はその面の努力が不足していたのかもしれないと、自戒もこめて考えてしまいます。ただ、これを明治学院の体質にしてしまっては、何も話は進みません。
今後、大学は少しずつではありますが、卒業生の方々への情報発信(大学の現況といった情報)を増やしていきたいと考えております。そして、明治学院を卒業した方々が、社会でどのような活躍をしておられるのか、それを知りたいと思います。そこで卒業生の方々も、明治学院からどういった情報を受け取りたいのか私たちに教えていただきたい。また、何か身近でニュースがあったとき、母校の明治学院にも一報を入れていただきたいのです。在学生・卒業生の明治学院に対する帰属意識を高めること、これは大変長い時間のかかることになるでしょう。でも、思い立った日が吉日なのです。皆様の御支援をお願いいたします。
2020年4月
明治学院大学学長
校友会会長
村田 玲音