当ゼミは、元本学客員教授の中島耕二先生のご指導のもと、2012年4月に活動を開始し、11年6か月が経過しました。その間、J.C.ヘボン博士、S.R.ブラウン博士、G.F.フルベッキ博士、W.インブリー博士、H.ルーミス博士、横浜の女性宣教師たち、J.H.バラ博士、T.T.アレキサンダー博士の各書簡集や伝記類の輪読、フィールド・ワークの適宜な実施、朗読劇の上演、並びにキリスト教史学会大会、外国人居留地研究会全国大会など各研究会に随時参加しながら学習活動を続けてきました。
2020年3月以降はコロナ禍のため休講を余儀なくされていますが、その代替として現在もeメールによる「ゼミ通信」を寄稿し合いながら、中島先生及びゼミ生間のコミュニケ―ションを図りつつ、テンタティブに活動しその方向性を模索しているところです。
この度は、直近の具体的な活動2件についてご報告します。
(その1)
当「校友団体情報」として昨年6月28日付で「中島耕二編『タムソン書簡集』出版記念会に参加」を報告しましたが、そのタムソン宣教師(博士)が設立した日本基督教団「新栄教会」は本年9月20日に創立150周年を迎え、その記念礼拝と行事が下記のとおり行われ、当ゼミからゼミ生3名とその友人1名の計4名が参加しました。
なお、新栄教会は東京に出来た最初のプロテスタント教会で戦前まで築地にありましたが、創立初期には東京一致神学校、築地大学校および東京一致英和学校の多くの教員・学生・生徒、井深梶之助第二代総理の親族も何人も信徒として所属し、明治学院とは深いつながりがありました。
場所:東京都目黒区中町1-6 -16
日時:2023年9月17日(日)10時30分 ~ 14時00分
記念礼拝:説教 キスト岡崎さゆ理宣教師(アメリカ改革教会)
司式 一之木幸男牧師
奏楽 矢野浩一氏
愛餐会+新栄教会小史(パワーポイントによる紹介):中島耕二先生
記念コンサート ~ アイルランド音楽の調べ ~
ティンホイッスル&アイリッシュフルート:安井マリさん
アイリッシュハープ:梅田千晶さん
出席者:62名
【参加して思ったこと、感じたこと】
一之木牧師は本学社会学部の出身で、明るく穏やかな方であり、その働きに同窓生として頼もしく思いました。
キスト岡崎さゆ里宣教師から「人は皆、多かれ少なかれ不安を抱えて生きていて、自分を守ることに一所懸命になり勝ちですが、そのような時こそ、他の人達のために何かできることが、その苦難を乗り越える力、そして国々の光になる。」とお話をされました。(ゼミ生の舎人和子さんの速記録より引用)
まさに“Do for Others”を実践されたヘボン博士、タムソン博士など多くの来日宣教師に改めて感謝の念を抱いた次第です。
愛餐会の中で、中島先生は「新栄教会小史」について、非常に分かり易くご説明され、出席の皆さんは熱心に聞きいっておられました。
記念コンサートは、日本でも古くから親しまれているアイルランド民謡や讃美歌が演奏され、中でも讃美歌312番「いつくしみふかき」は出席者全員で歌い、日々の喧騒を忘れさせる素晴らしいひと時をいただきました。
演奏者は中島先生の知人であり、先生が出演依頼されたとのことですので改めてその交友の広さを認識しました。
「新栄教会」にとっては、先生は重要なお立場であることを理解する共に、記念すべき素晴らしい会にお誘いいただき感謝しております。
(その2)
ヘボン博士は、1859(安政6)年10月のアメリカ長老教会宣教医としてクララ夫人と共に来日し、神奈川成仏寺に3年仮寓したのち1862(文久2)年12月に横浜居留地に転居され、1875(明治8)年9月までの約13年間お住まいになられました。
そのヘボン博士邸跡地には、同博士の多くの功績を称えた「ヘボン博士顕彰碑」(1949(昭和24)年10月建立)があります。
その花植え清掃活動は、毎年ヘボン顕彰会(会長:阿部志郎先生、世話人:島田貫司氏)が主催され、2022(令和4)年10月からはヘボン顕彰碑・愛護会(代表世話人:明治学院同窓会横浜支部長 永井 彪氏)に引き継がれました。
本年度は10月14日(土)に実施され、参加者は20名でした。そのうち、当ゼミは、自由参加として7名(中島先生、ゼミ生2名、ゼミ生のご家族4名)が参加しました。
参加者は、この地にあった「ヘボン塾」が現在の明治学院に発展したこと、生活の糧を得られていることはヘボン博士のお陰であるなど、それぞれ思いを馳せながら、除草、パンジー60苗植え付け作業に勤めました。
作業終了後、中島先生は、ヘボン博士邸やその周辺の貴重な古写真多数を示しながら、当時の様子を説明されました。
【参加して思ったこと、感じたこと】
本年度で花植え清掃活動は74回を迎え、歴代の主催者の労苦を思いながら感謝しています。
今回その労苦を目の当たりにしました。すなわち、花植えの際の水やりや作業後の手洗いのために、主催担当者が「ヘボン顕彰碑」のある横浜合同庁舎に水を工面に訪ねたところ、同庁舎の守衛係から厳しく拒否をされたことです。従って、かなり離れた場所にある「公衆トイレ」までポリバケツを持参し、水を汲んでその目的を収められました。このように協力を得られなかったり、渋られたりしたことは、過去にもあったと耳にしたことがあります。今後、その年によっては同庁舎の協力を得られたり、得られなかったりでは根本的な解決にならないと考えます。
そこで、僭越ではありますが素朴且つ飛躍的な提案があります。明治学院の創立者をヘボン博士としているならば、学校法人明治学院は「『ヘボン博士顕彰碑』のある土地」を購入すべく広くから寄付金を募ったうえで所有し、所有後は学院の管理のもと水道の引き込みも可能となり、且つ中学校から大学まで授業の一環として活用できますので、一考に値するものと考えます。
学校法人同志社は、創立者新島譲にゆかりのある土地を所有のうえ顕彰碑を建立しており、それを拝見したことがあります。
なお、本活動の参加者は毎年約20名前後であり、それも高齢者に偏りがありますので、若者の参加を期待したいと思います。
(世話人:海瀬春雄)
(花植え清掃活動後の「ヘボン博士顕彰碑」)